円安が止まらない

2022年09月07日

アメリカFRBの度重なる利上げと、頑迷な黒田日銀総裁の低金利政策とのギャップが広がる中、ついに円の対ドルレートは140円を超えた。このままでは年内に150円を超えると予測されている。経済評論家の中ではFRBの金融緩和が来年行われ、円が反転攻勢に転じ対ドルレートが120円に戻るとの楽観的な予測もある。

しかし僕は今後の台湾有事を含めた国際情勢の悪化や、あと3年間の岸田政権の間に円の価値は下がり続けて対ドルレートで180円位に落ちてしまうと考えている。こうなればエネルギーや食糧など海外に依存する輸入品はさらに値上がりしガソリン1ℓ200円超えや、ラーメン1杯1500円超えという状況になる。一方給料は3年間で15%程度賃上げされるが、物価高が激しく実質賃金は20%減程度になり、さらに可処分所得が減少して行く事になろう。勿論貿易収支は大赤字で、この赤字補填は、さらに割安となる日本の不動産への海外投資やインバウンド需要で賄われるという事になる。つまり日本不動産のバーゲンセールとインバウンド観光と言う名の日本文化の投げ売りだ。日本の資産と心が、成り上がり国家の中国等に占拠され続けていく。

僕は円安の要因は大きく5つの理由があると考えている。
1番目 増え続ける国家の債務
残高が1200兆円あり、支払金利だけで毎年の国家予算の4割近くになり、仮に金利が倍になれば国家予算の7割が金利支払いとなり、物理的に国家運営が出来ないという惨状にある事。 
2番目 政治機構や行政機構の非効率さにメスが一切入っていない事。常識外の給料と歳費と人数のままなので、大きな国家戦略を持った行政的な決定が出来ない、選挙目当ての活動しかしないボンクラ国会、地方議員に代表される政治機構。そして優秀な官僚が一部の省庁に偏り、一部の行政担当官は寝る暇さえ無く働いているのに郵便局を始めとする公務員はアクビの連発をしている事。この機構改革が出来ていないのは政治の責任でもある。
3番目 ロシアのウクライナ侵攻、安倍元総理の国葬問題や統一教会問題等々、木を見て森を見ない、偏狭な正義感で国民を振り回す、国際センスなきマスコミ。アメリカのガソリン価格や電気価格すら正確に知らず、大騒ぎする惨状。テレビでのコメンテイターは一部を除いて知識不足の芸能人が主体と言うノー天気振りでTVのプロデユーサー自体がこの程度のレベルなのだろう。
4番目 日本が戦後奇跡の復興を成し遂げた要因に、家電や自動車産業の高成長があった。しかしそのお株は韓国、台湾、中国、アメリカに奪われて久しい。今後の日本経済をけん引する新しい産業が無いことが、日本の価値の低下を招いている。ドローンや小型航空機産業、AIを含むロボット産業の世界一を目指す国家戦略が急務である。
5番目 平和ボケの国民とその勤労意欲の低下。テレビでもネットでも相も変わらずバラエテイ番組の垂れ流しだ。日本がいつ攻め込まれてくるかさえ判らないのに、絶望的に危機感が欠如している。安易な転職やリクルートを煽る思想なき儲け主義の広告代理店の暗躍。

円安の根本原因は日米金利差ではない。今のままでは日本の未来はないと言う冷徹な海外投資家の日本売りが原因である。大胆な改革が望まれるが、無策岸田政権で国家がボロボロになってからしか大改革は始められないのかも知れない。安倍元総理の国葬ではなくて、正に国家の葬儀 国葬が始まった年として、この円安がその兆候として特筆されるだろう。